学校の補習を120%活かしたいあなたの4つのステップ(講座分析編)
さて前回から引き続き、学校の補習を活かす4つのステップのSTEP2と3にいきましょう。
前回では自分を知る、という部分を勉強しました。次は講座の分析と、成功のイメージについて考えていきましょう。
STEP2:目的・想いを知る
目的は「見出し」、想いは「本文」
まず当たり前ですが、その授業の目的を知る必要があります。え?知ってるって?「ほら、この補習一覧の紙に書いてあるじゃない!」たしかにそうですね。「長文を克服する」「センター試験対策をする」たしかにそうです。ということで、ここで私たちは「想い」という言葉を憶えることを提案したいです。私達もそうなんですが、いつもの授業ではテストがあるために決まったところまで終わらせる必要があります。すると、「ほんとはこんなことやりたいんだけどな…」だったり「これ知っとくともっといいんだけどな」というところを涙を飲んで削らなくてはならないのです。「でもこれ補習でできるかも!」 つまり講座を設計するときは、指導者としてはこのような「想い」があります。しかし、紙面の関係上、端的に短くする必要がありますよね。目的の裏には「想い」(問題意識)があるということを知っておいてください。つまり補習を取ろうと思った時にするべきことは、先生のこの「想い」はなんなのか、知ることが必要です。 もっとも大事なものはこの「目的」と「想い」です。簡単に言うと、「目的」は「見出し」、「想い」は「本文」です。
対象を知る
目的と想いが掴めた私達は、次に「どんな人が対象なのか」を知ることが必要になってきます。つまり具体的にどんな生徒に向けてこの講座が作られているのかを知っておくということです。偏差値60の人なのか、また偏差値45の人なのか。偏差値60といっても、何につまづいていているのか。長文か文法か、などなど、みなさんに性格があるように、みなさんの弱点というのもまた様々なのです。STEP1の自己分析が甘いと、「偏差値60程度対象」という言葉に納得してしまいます。自分はどこができない偏差値60の人なのかしっかり把握してください。
また、みなさんのスタート地点も様々です。どれだけの知識が定着しているかによって、講座についていける、ついていけない、が決まってしまいます。例えばの話をしましょう。あなたは長文が苦手だとします。ここで長文演習という補習を取ると、大変なことが起きてしまいます。長文の読み方、解き方のプロセスが入っていないのにいきなり演習するというのは、野球で例えると素振りやバットの握り方もしらずに試合に出場するということになります。スポーツだと確かに、「それはおかしいだろう」と思うこともなぜか勉強だと「頑張ればできる!」という精神論に陥りがちです。
あなたがすべきことは、受ける補習のスタイルを「演習型」から「体系型」に切り替えるか、はたまた受けると決断したのであれば、長文を読んで解くためのプロセスを補習までに詰め込んでおくことです。「頑張る!」ことは大事なことですが、何をどう頑張るのかがわからないと、時間を使うことが頑張ることだと勘違いしてしまいます。これは勉強において常に意識しておかなければなりません。
- この講座の対象者はだれか
- 講座の開始レベルはどんなところか
- 講座変更、または継続の決断
- 決断した場合には講座開始までの努力の仕方を考える
このようにまとめました。 指導者は講座設計する時、「この子が基準だ!」と決めていることが多いです。これが知れたら儲けものですが、おそらく教えてくれないと思いますので、自分に合うかどうかをしっかり検討してくださいね。
STEP3:「成功のイメージ」を知る
- 自分を知る
- 目的と想いを知る
- 成功イメージを知る(←イマココ!)
- 情報を統合する
続いて、成功のイメージについて話していきますね。目的というのはある程度、抽象的、つまりぼんやりとしているものです。「想い」を知ればだいぶ具体的にはなりますが、まだ、すこしぼんやりとしている。これを補うものが成功のイメージ、又は状態目標、プロジェクトビジョンと呼ばれているものです。この講座が終わった時にどうなっていたら講座は成功であるのか、ということです。たとえば「受講者全員がセンター試験の過去問の文法で80%以上とる」だったり「授業後アンケートで英語が好きになった!という言葉が80%から聞けた」であったりということです。ここが具体的であればあるほど、あなたの満足度が上がる可能性が高まります。なぜ「満足度が上がる」と断言しないのか…これには理由があるのです。(急いでいる人は飛ばしてね)
コラム:絞り込むことのリスク
抽象的、具体的という表現で混乱する人は、「ぼんやりデカい」「ぎゅっと絞りこまれてる」ぐらいに考えてみてください。 具体的であると人は想像しやすくなる、ということはどういうことでしょうか。 すこし思考訓練をしてみましょう。「人類」「日本人」「一番好きな人」に対してどうやったら喜ばれるか、考えてみてください。人類に喜ばれる?どうやって?日本人に喜ばれる?どうやって?一番好きな人に喜ばれる?どうやって?さてどうでしょう、喜ばれる方法は見つかりましたか?さて明日からそれは実行出来ますか?「はっ!」と気が付いたあなた、そうなんです、人は具体的に考えないと行動が生まれにくいのです。「一番好きな人」が喜ぶことは「人類」「日本人」が喜ぶことより想像しやすくなかったですか?
あなたの一番好きな人が「流血を伴う凶器満載のプロレス」が好きだったとしましょう、例えばですよ。あなたはデートに彼女、または彼氏を連れて行ってあげることにします。きっとどストライクに響くでしょう。しかし、それをあなたの幼馴染に見せたらどうでしょう?また、他の人は喜んでくれるでしょうか。「お前、流血って、やりすぎだろ!」「人間性を疑うぜ!」みたいな話も出るかもしれません。このように他の人に喜んでもらうのはなかなか難しいように感じます。つまり絞り込めば絞り込むほど、他の人に喜ばれなくなる確率も高くなります。 また逆に万人向けと言うことは、伝えたい内容を特定の人向けにすることはできない、また表現も万人向けにする必要もあるため、その人の心のどストライクを狙うことはむつかしくなります。結局、「なんかいい話だったけど」「なんだったろう?」というモヤモヤ感が残ってしまうことになります。
一斉授業の際は伝わるギリギリのところを「成功のイメージ」として設定する必要があります。指導者側がこれに失敗すると、「得るものがなかった」「よくわからなかった」「僕には早すぎた」という不満が出てきてしまうことになります。このスリルの中で指導者は講座を設計しているのです。
「こうなったらこの講座は成功!」が成功イメージ
講座が成功したかどうかはどうやってわかると想いますか?これ実は答えは一つなんです。それは目的が達成されたかどうか、です。そして目的達成といっても目的自体がぼんやりとしたものなので、もっと具体的なものが必要になってきます。みんなが見て、「成功だったね!」とわかるもの、それが「成功のイメージ」です。例えば目的が「語彙力を高める」だった場合、成功のイメージは「何日間で何個の単語を憶えた状態」だったり「派生語までカバーしている状態」というものが考えられます。目的からさらに絞り込んだものです。たまに指導者が狙った以外の効果が出ることがありますが、それはまた次の機会にでも。 「成功のイメージ」が決まるとどのくらいの人数がいいのか(一斉指導・個別指導など)、また扱う教材はなににするのか、演習型か講義型か、期間はどのくらいが適切か、などがつぎつぎに決まっていきます。 逆に成功のイメージが決まっていない場合、今上げたものが前提条件となり、成功のイメージをそこから練ることになります。「与えられた期間は5日間か。たしかあんな教材があったな。生徒はだいたい20人ぐらいだろう。」受講する生徒の満足度を考えるとあまり好ましくない方法ですが、少なからず採用される方法ではあります。制約が多い中ではしょうがないです。その場合、担当する先生の経験、知識、力量に左右されますので、「どうやら条件優先みたいだぞ」と感じたら普段の授業から判断したり、受け持ちじゃなかったら自分と似ている感性の友だちから評判を聞いて判断するしかありません。
では今回はこのへんで。
次回は、学校の補習を120%活かしたいあなたの4つのステップ(検証編)でお会いしましょう!