Will this medicine really ( ) me any good?
文法問題で満点を狙うために
このポストではある高校の定期テストで出題された問題を取り上げます。「問題と答えはあるけれど、解説がないんですよ。」という、かわいい生徒のために、私が作成した解答を公開します。これは年越合宿で取り組んだものですが、反響が良かったのでブログでも掲載することにしました。ただ、受験生向けに書くので、結構簡素な解説になっていますので、高校2年生はついていけないと思います。そういう人はもうちょっと勉強してからみてください。
2016年1月10日から2016年度センター本番前日まで毎日配信します。出てくる文法知識としてはセンターを一部超える難度ですが、大事なのは正解までのアプローチです。私達が練習してきた、論理的に解くと云う「頭の使い方」をここで確認しておきましょう。
問題
下記の選択肢のうち適切なものを選び、和訳しなさい。
Will this medicine really ( ) me any good?
① do ② get ③ make ④ take
解答
四択
方針
今回は①doが正解。今回の着目点はdoが二重目的語をとった時の用法だが、それを確定するためにはgoodの品詞を確定する必要がある。しっかり品詞分解で出来ていて正解したなら心配はいらないが、これを丸暗記していて即答した場合は今回はたまたま正解したのだと思い、反省してほしい。もしもう一つ罠が仕掛けてあったら間違っていたかもしれない。満点を取れるはずの人の「満点」を阻むのはいつも思い込みだ。本番では即答できた問題こそ何らかの印をつけておいてほしい。余った時間で、即答した解答に根拠を見つけていく作業が必要だ。ただ、この作戦は8割取れない人はやらないほうがよい。これは凡ミスを防ぐ作戦だ。8割取れない人は、即答し、長文をその分きちんと読むようにして取りこぼしを防ぐようにしよう。
ポイントの確認
goodの品詞を確定して文型判断のヒントに
今回の論点はこの文がSVOOなのかSVOCなのかという点である。さて、君はどちらで解釈をしただろうか。多くの人はこれをSVOCと解釈するだろう。しかし、今回はgoodの前にanyという形容詞がついているので、goodは名詞であるといえる。ここでは、「よい効き目」、「効能」、「長所」ぐらいに考えておこう。 goodは多義語で「よい」以外に、「十分な」「親切」という意味の形容詞や「長所」「価値」、「効き目」という意味の名詞を持つので忘れている人は今一度確認しておこう。
品詞分解をして用法を確定せよ
any goodが形容詞であれば文型は第5文型SVOCで確定であったが、any goodが名詞句とすると、SVOOの可能性が出てくる。 そこで、SVOOとSVOCの確定が次の作業となる。そこでmeとany goodの関係性について考えてみよう。SVOOとSVOCの簡易的な識別は”O≠O”、”O=C”である。(厳密に言えばこれは少し異なる。この論法だと、使役動詞 let 人 do や、want 人 to doの説明がつかない。正しくはSP関係が成り立ち、そのなかでもO=Cが成り立つことが多いというべきである。なおCが凖動詞句ではなく、純粋に形容詞や名詞の場合はOとCの間にbe動詞を挿入すると識別が楽である。)今回、SVOCであると仮定すると、”O=C”と考えられ、I am any goodとなる。「私」は「よい効果」なのだろうか。そうはならないだろう。これより、SVOCではなく、SVOOであると確定できる。
語法で絞り込む
では次に各動詞の語法を検討していこう。SVOCを取れる動詞は選択肢のなかでは ② get ③ make の2つ。この段階で② get ③ makeは外れる。続いてSVOOを取れる動詞の検討に入る。意外かも知れないが①doは二重目的語を取ることが出来る他動詞としての用法もある。これは見落としがちなので憶えておこう。このときdoはgiveと同じニュアンスとなる。
続いて④takeだが、takeもSVOOを取ることができる。しかし、takeを第4文型で使うときは注意が必要だったはずだ。takeは二重目的語を取るとき、take 人 物となるが、この場合、物理的な移動が必要となってくる。takeはgoであり、bringはcomeを内包している。話し手に近づいているのがcome,bring、遠ざかっているのがgo,takeである。もし「もたらされる」というイメージで使うのであれば、「持っていく」というニュアンスのtakeではなく、「持ってくる」というニュアンスのbringがふさわしいといえる。また発展内容だがtakeには第3文型SVOをとり、take a medicineで「服薬する」という意味もある。これと混同した生徒もいただろうが、今回は使えない。
語感 | 話し相手から or に | |
bring | 持つ+come | 近づく(持ってくる) |
take | 持つ+go | 遠ざかる(持っていく) |
お母さんが「ご飯ができたよ」といい、子どもが「今行くよ」と答える場合、I’m coming「今向かいます」を使う。I’m going.だと「ちょっと出てくる」となり、お母さんは「ご飯たべんのかーい」となってしまう。(ちなみにこの現在進行形はwillを使わない未来表現である。)これは相手にとの距離が近づくか、遠ざかるかで判断すればよい。
フィルタリング
解答に迷ったら下記のように縦と横でフィルタリングをしっかりかけると論点が見えやすい。薄青色の行と列がそれぞれのポイントを表しており、2つが重なった部分が正解を表している。
もたらす |
いく | |
SVOO |
① do |
④ take |
SVOC | ② get ③ make |
このように整理すると、今回は、形容詞anyに気が付けばそんなに難しい問題でなかったことがわかる。
和訳
この薬は本当に私に効きますか。
Will(助V) this medicine(S) <really> do(V) me(IO) any good(DO)?
和訳のポイント do[人(IO)][モノ(DO)] [人]に[モノ]を与える
大切なことは、あっている間違っているではない。
丸暗記で正解しても、そこには再現性はない。
たしかに丸暗記でしか乗り切れないものもあるが、
私のもとで学んだからにはそんな安易な学習に始終してほしくない。
その問題を解くことが目的ではない。
入試本番で解けなくては意味が無い。
もっといえば、入試自体も小さな問題だとさえ思う。
今この時期に英語という教科を通じて、
論理的、科学的思考を身につけて欲しいと思っている。
一生使えるのは英文法ではなく、
英文法を解くために鍛えた思考力である。
少しでもあやふやなところがあれば、文法書で確認し、
問題集の類題で補強しておくこと。